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政治かわら版 牧島かれん国政報告

特別初夏号 2014.5.15発行 Vol.61
今や「グローバル化」という言葉を使うまでもなく、世界で起きるさまざまな課題を国際社会全体で捉え、解決しなければならない時代となりました。企業でも、課題を乗り越えていくためには、目標と期限を決めることが大切だと言われています。国際社会においても同じで、課題について、各国で話し合い、目指すべき数値目標を定め、期限を決め、達成度を測る、という作業が行われています。
来年を期限とし、国際社会全体で取り組んでいる目標のひとつである「ミレニアム開発目標(MDGs)」について、今回ご紹介します。
 
ミレニアム開発目標(MDGs)とは
皆さんは、「ミレニアム開発目標(MDGs)」という言葉をご存知でしょうか。
20009月、147の国家元首を含む189の加盟国代表の出席の下、国連ミレニアム・サミットがニューヨークで開催され、21世紀の国際社会の目標として「国連ミレニアム宣言」が採択されました。ミレニアム宣言とは、平和と安全・開発と貧困・環境、人権とグッドガバナンス(良い統治)・アフリカの特別なニーズ等を課題として掲げ、21世紀の国連の役割に関する明確な方向性を提示したものです。
この「国連ミレニアム宣言」と1990年代に開催された主要な国際会議や、サミットで採択された「国際開発目標」を統合し、一つの共通の枠組みとしてまとめられたものが「ミレニアム開発目標(以下、MDGs)」なのです。


MDGsは8つの目標を掲げており、その下には、より具体的な21のターゲットと60の指標が設定されています。ほとんどの目標は1990年を基準年とし、2015年を達成期限としています。
こうしたゴールに向けて、国の代表が数値目標を決め、それが国際ルールとなるわけですが、時に数値は単なる指標に留まってしまう場合があります。どのように行動するのか、何が課題として残っているのか、どんな助けが必要なのか――。こういった問題は、一歩踏み込んで、各国の国会議員レベルで集まって話し合っていくことが大切です。

かれん‘s EYE 

MDGs達成時期まで、残り半年となり、私はストックホルムで開催された「第6回国際人口開発会議行動実施のための国際国会議員会議(IPCI/ICPD)」に党務として派遣されました。これは166か国が参加する(今回は134か国が参加)、各国の国会議員が「人口と開発」について話し合う会議です。
 
日本は、人口と開発に関する超党派の議員連盟を40年も前から立ち上げ、(初代会長:岸信介先生、現会長:谷垣法務大臣)国連の各組織とも連携し、途上国へ大きな拠出金を出しているものの、国際会議でのプレゼンスは充分でない、との指摘がありました。
人口問題は国の女性政策と密接に関わり合っています。日本を代表し、途上国への社会貢献と、先進国の一員としての国家の取り組みをしっかりと示してくるように、との任務を携え、私はスピーカーとして、そしてアジアを代表して共同声明を創る起草メンバーとして関わりました。
会議のメインテーマは、2015年度までの目標達成が厳しいとされている、目標5の、5.A5.Bに関する議論です。

目標5:妊産婦の健康の改善
5.A:2015年までに妊産婦の死亡率を1990年の水準の4分の1に削減する。
5.B:2015年までにリプロダクティブ・ヘルスへの普遍的アクセスを実現する。 


5.Aに関しては、妊産婦死亡率は1990年からの10年間でほぼ半減しましたが、特にサハラ以南アフリカでは目標値に遠くかけ離れており、日本としても引き続き支援をすることを約束しました。
 
5.Bに関しては、かなり厳しい議論となりました。リプロダクティブ・ヘルスとは、性と生殖に関する健康・権利と訳されています。
具体的には、差別、強制、暴力を受けることなく、子どもを持つ、持たない、その数や時期を、自由にかつ責任を持って決断することができ、そのための手段や情報を得ることができる、という権利が含まれます。
 
若者の割合が高く、家族計画が課題の途上国と、高齢化が進み、出生率が課題の先進国とでは、抱えている課題は異なります。
 
共同声明をめぐる攻防 

さまざまな歴史的背景、文化をもつ諸外国が集まり共同声明を作成する、という作業は、世界に向けた国のポジション作りでもあります。
 
私は、日本を代表する起草委員として、日本のブランドである「国民皆保険制度」を基としたユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)を声明に含めることを主張しました。オバマケアなどで国内議論を進めてきたアメリカからは、家族計画を保険に入れるべきかは重要な問題である、との意見が出た一方で、カナダからはUHCは世界的な目標とすべき、との意見が出されました。UHCは多くの国にとって高いハードルであると捉えられたものの、最終的には、目標としてしっかり文言を入れることができました。
 
同時に、「高齢化社会への準備」という側面は日本が提起すべき課題と考え、提案をしました。この点はアフリカ諸国からも賛同の意が示され、「人生どのステージでも医療サービスにアクセスできる」ことを目指し、新たにパラグラフを加え、声明に入れることに成功しました。
 
国際会議で共同声明を起草する、という経験を通して、議論を重ね、ひとつの文言に集約させていく作業の重要性を痛感しました。他国が干渉し得ない文化であるのか、時代の変化とともにグローバルスタンダードとして従っていくべき事案なのか――。その国の宗教や歴史や文化を背負って議論し、乗り越えていく過程は重労働ながら意義深い経験でした。世界における日本の存在感を今後もしっかりと示してまいります。

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